iCUREX株式会社 設立の経緯と想い
2023.10.10
私はこれまで約12年間、キトサンヒドロゲルの研究に取り組んできました。研究を進める中で、「この技術を医療現場に届け、患者さんの治療に役立てたい」という想いが日に日に強くなり、その実現のために製造・販売を手がけるスタートアップ企業を立ち上げる決意をしました。
しかし、私は大学での研究以外の経験がなく、「会社設立とは?」「薬事申請の進め方は?」といった基礎的なことさえ手探りの状態で、時間だけが過ぎていく日々…。そんな時、スタートアップ企業での実務経験があり、会社設立や医療機器の薬事申請に精通した知人(現・取締役の吉永)の存在を思い出しました。相談を持ちかけたところ、「ぜひ一緒に会社を立ち上げ、開発品の上市を目指しましょう!」と心強い言葉をもらい、2023年10月10日、iCUREX株式会社を共同で設立。さらに、鹿児島大学認定ベンチャーとしても認められました。
iCUREXという社名には、「improved cure maximally(最大限に傷の治療を改善する)」という想いを込めています。ですが、会社を設立したことはゴールではなく、あくまでスタート地点。研究開発の加速、製造設備の導入、優秀な人材の確保など、上市に向けた多くの課題に取り組む必要があります。そのため、私たちは公的機関の研究助成金を活用し、ベンチャーキャピタルからの資金調達を進めながら、薬事申請や品質マネジメントシステムの構築など、専門家と協力し、一歩一歩着実に前進しています。
かつては「大学教員は研究に専念すればよい」と考えられていましたが、今は研究成果を社会に還元し、実装化することが求められる時代です。私もこの考えに深く共感しており、iCUREX株式会社を通じて、研究成果を実際の医療現場へ届け、より多くの人々の健康に貢献していきたいと考えています。